また夜更かしした
水曜日。週の折り返しだ。
昨夜も10時半には布団に入ったのに、スマホを見ていたら11時半になっていた。12時ごろに寝て、6時に起きた。6時間ちょっと。悪くはないけど、理想には届かない。
これは月曜日に起因していると思っている。週のスタートが睡眠不足で始まると、そのあとも甘えてしまう。月曜日にうまくいかなかった分、火曜日も水曜日も「まあいいか」になっていく。最初のずれが後を引く。わかっているのに直せないのが情けないんだけど、せめて今日の水曜日でリセットしなければ、と思いながら電車に乗った。無理ならどこかで修正する。そう決めないと、このまま金曜日まで崩れていく。
最初のボタンの掛け違い
「最初のボタンの掛け違いがあると、後からどれだけ頑張っても苦しくなる」
これは職場のベテランの人から教わった言葉だ。63か64歳、定年退職してからも契約社員として働き続けている人で、最初の3年間に同じ課にいた。
その人は元々工場に勤めていて、いろいろあって外回りの営業になった人だ。現場で積み上げてきた経験がとにかく豊富で、事務方の人間が知らないことをたくさん知っていた。困ったことが起きると誰かが相談に来るような人で、火消しにも走っていた。そういう場面にたまに同席させてもらって、終わったあとにこっそり教えてもらうことがよくあった。
「定義の履き違えや認識のずれを最初に放置すると、後から直すのは本当に難しくなる。だから最初にルールをしっかり決めて、それを絶対に守る。人間は弱い生き物だし、曖昧なルールの中ではどうしても甘えてしまうから」
仕事の話として聞いていたけど、今は自分の生活習慣にもそのままあてはまる気がしている。月曜日の睡眠不足、最初のボタンの掛け違い。そこを押さえておかないと1週間がずるずると崩れていく。あの言葉はずっと頭の中に残っていて、仕事でも生活でも、何かがうまくいっていないときに必ず思い出す。最初に戻る。何がずれていたか確かめる。それがその人から受け取った一番大きなものだと思っている。
「人間は弱い生き物」という言葉も刺さった。偉そうに言っているわけじゃなくて、自分も含めてそういうものだ、という言い方だった。だからこそルールで縛る。意志の力に頼らない。そういう考え方は今の自分の仕事の進め方にも影響している。チェックリストを作る、締め切りを先に入れる、曖昧なままにしない。全部あの人の言葉からきている気がする。
もっとそばにいればよかった
その人の契約がもうすぐ切れる。今は課を異動してしまって、自分から離れた形になっている。異動したのは僕の方だ。
十分に受け取ったと思う部分はある。でも後悔もある。来客対応を一緒にやらせてもらえる機会がなかなかなかった。ゴルフも「教えてやるよ」と言ってくれていたけど、結局自分がやらなかった。忙しいとか、タイミングが合わないとか、そういう言い訳をしているうちに課が変わってしまった。
あの人から盗めたことはたくさんあったと思うけど、もっと盗めたとも思う。現場を知っている人の話というのは、マニュアルや研修では出てこない。失敗して、修羅場をくぐって、それでも続けてきた人の言葉は重さが違う。そういう人が近くにいる時間は有限で、気づいたときにはもう離れてしまっている。若い頃はそのことに鈍かった。貪欲に動けばよかった、と今は思う。次に似たような人が現れたときは、もう少しちゃんと動こうと思う。
修学旅行生
今朝、駅のホームに修学旅行生がたくさんいた。社会科見学かもしれない。リュックを背負って、引率の先生に従いながらわいわいしていた。
ああいう子たちを見ると「学生に戻りたいな」と思う人もいるんだろうけど、自分はあまりそう思わない。学生のころはラグビーしかしていなかった。受験もまともにやっていなかったし、勉強も誰かに頼っていた。楽しかったかと言われると、やっていたけど好きだったわけでもないものをずっとやっていた時間だった気がする。
あの時があって今の自分がある、というのはたぶんそうなんだけど、あの時代に特別な輝きを感じているわけでもない。今の方がずっと自分でいろんなことを考えて動いている。仕事も人間関係も、うまくいかないことだらけだけど、それも含めて今の方が自分らしい気がする。学生に戻りたいとはあまり思わない。
修学旅行生は楽しそうだった。それはいいことだと思う。今の自分も、今の場所で楽しくやっていけばいい。
水曜日の朝、駅でそんなことを考えた。今日は折り返し。後半も乗り越えていく。今夜は早めに寝る。まずそこからだ。最初のボタンを、今日の夜から掛け直す。